男性なら電子ビームは一家に一台欲しがります

電子とは

SFやロボットアニメの作中では頻繁に登場する電子です。

電子ビームと聞いて真っ先に浮かぶのは「かっこいい!」だと思いますが、皆さん はどれだけ電子の事を理解しているのでしょうか。 漠然と電化製品を作動させるのに使われているんだろうな、とお思いになっている 程度の知識しかない、そんな方も文系出身の中には多いでしょう。 電子とは原子核から少し離れた位置でグルグル回っている粒子で、原子核とセットで 原子を構成しているとても小さな物質です。 小さすぎて肉眼では確認できないほど、虫眼鏡やルーペを使ってもどこにあるのか 見つけるのは困難でしょうし、小さいから重量も0に等しいです。 砂丘の砂よりも小さくて軽量、目の前にあっても目視できないので、名前は聞いた ことがあってもどんな物質なのかしっかり理解しにくいのでしょう。 目で見たり手で触れたりすることができれば「なるほど、これが電子か」と納得 可能ですが、肉眼では見えませんし触った感触もありませんのでその存在をしっかり 認識することが不可能、なのであやふやなイメージでしか理解できないのです。 そんな極小の電子ですが、ただの粒子ではなく電気を帯びていることはさすがに 誰もが知っているでしょうし、名前的にもそうでなければおかしいです。 その電荷は数ある電子全てが同等で、こっちのほうがたくさん電気を帯びている、 なんて不公平なことはありません。 どれを選んで調べても全て等しく、差別の無い優しい世界となっています。 もしもみんなバラバラだったらそれぞれに優劣をつけなければならなくなって しまいますし、それは揉め事の原因となるのでなるべく避けたいことです。 みんな仲良く同じだけの電荷でないと、表面上はなんともないフリをしていても 裏ではコソコソと陰口を囁く人も出てきてしまいます。 それがエスカレートすると複数のグループ、派閥が完成してしまい、みんなが一丸 となってなにかを成し遂げる際には妨げとなる危険もあります。 そんなわけで全ての電子が同じだけのマイナス電荷を持っており、プラス電荷を持つ 原子核の周囲を同じような軌道でグルグル回っているのです。 太陽の周囲を回っている地球のように、地球の上空を周回しているお月様のように、 止まることなく何日も何週間もまわり続けるのです。 地球や月は何年も何十年も繰り返しグルグルしていますが、それは外部から特に力が 働いていない、干渉されていないからで、いわば安定して周回しています。 電子もそのままならずっと原子核の周りをグルグルしていますが、電子ビームは それを許さず大きな力で干渉します。 マイナス電荷を持つ電子はプラス電荷に引かれますから、プラスの電圧をかけた 電極とマイナスの電圧をかけた電極を用意し、プラスの電極に向けて電子が流れる ような装置を作るのです。 電圧が高ければ高いほど電子の速度は上昇し、大きな運動エネルギーを生み出します。 電圧が小さければ加速も少なくて小さな運動エネルギーとなりますが、そこはある 程度自由に調整できるので欲しいエネルギーに合わせて設定します。 こうやって加速させた電子を何かに衝突させると、電子が持つ運動エネルギーは その物質にいろいろな形で受け渡されます。 衝突により化学反応が発生し、何かを結合させたり熱エネルギーに変換されたり、 とにかくぶつかった位置にさまざまな反応をさせることができるわけです。 その量も調整できるし場所もかなり細かくに設定できますから、しかるべき設備 さえあれば自由自在なのです。 それを利用したのが電子ビームで、レーザービームと似たような原理となって いますがレーザーにはない嬉しい特性もあります。 レーザーも男子は好きそうですしそこは両者とも互角の勝負となりそうですが、 接合においては電子ビームの方が勝るかもしれません。